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VPとかPPとかIPとか。

 

VMDを学ぶときに必ず登場する言葉、VPとかPPとかIP。これら「場の役割」のそれぞれの違い、具体的にわかりますか?

 

弊社のウェブサイトでも詳細に解説していますが、古の昔から同じように繰り返されている質問といえるでしょう。現にこのコラムをお読み頂いている方も、一度や二度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。

これは何Pと何Pでしょう??
これは何Pと何Pでしょう??

 

以前勤めていた会社でも解らない方が案外多くいらして(若手や事務スタッフはともかく、MDの第一線の人、百戦錬磨のベテラン売場マネージャー、店長ですら!)、ディスプレイのことをなんでもかんでもVPと言う人、VPの意味をVMDそのもののことと勘違いしてる人、PPをVPと思っている人、私のいる担当部署の名前をVPと思っている役員、様々いました。そのくらい言葉としては浸透している、とも言えるわけですけどね。

どんなにマニュアルを完備しても、草の根で説明する機会がなかったり教えてもらう機会がない限り、VP・PP・IPの違いや具体的な役割を知っていなくても当然ですし、仕方ないことです。


なぜ今さらこんなことを考えているかというと、現在コンサルティングしているお店でも同じ現象を観察することができるからです。素晴らしいマニュアルは存在するのに、売場の方は「なんとかP」というヤツをよく知らない。でも売場プランの会議ではその用語をデザイナーや私たちがバンバン使っちゃっている。

 

良い学びの機会なので、こういうタイミングで草の根的にその意味や役割を、売場創りの実プランを通してご理解頂くことが重要かな・・と日々感じています。

 

これは何Pでしょう??
これは何Pでしょう??

 

さすがに、店長クラスが知らないのは少々問題があります。「マーチャンダイジング」「展開」に対する正しい評価と物の見方が出来ていないかもしれませんから。このような場合、その方は端から展開の理論やVMDに関心がなかったか、実務として携わる機会がなかったのでしょう。後者であれば仕方ありませんね。そういう店長さんには私のような立場の者がこっそりご解説申しあげます。

「場の役割」は、お店や売場に携わる方なら皆知っていてほしい、知っていて損はない知識ですが、近年は様々なディスプレイ形態があることから、古来より伝わるVP・PP・IPの3分類、いわゆる「なんとかP」という呼び方に固執する必用はないのではとも思っています。確かに、教育指導上は共通認識が取りやすく理解もしやすいので使い勝手のよいワードではあるのですが。

 

VPとかいう言葉を聞くだけで、「古臭い考え方!」とステレオタイプに嫌がる若い方が本当に増えてきました。VPなんかいらない!マネキン2体がステージの上に立っているヤツなんか必要ない!と。マネキンなんかいりませんと。もっと新しい表現をしたいのですと。古式ゆかしい言葉と模式図だけを用いて刷り込もうとすれば、今はそう思われても仕方ない時代かもしれません。

「なんとかP」という呼びわけ方より、
そのディスプレイにはどんな役割と意味があるのか?を考えることのほうが重要だと考えています。設計思想でも変わります。

実際、IPでもVPと位置付けるべきものがあります。PPもそうです。VPがなくてもPPがあればよい場合もありえます。表現手法は様々あってよく、「場の役割」は三位一体、各々に意味がありますが、お互いにそれぞれの役割を併せ持つことが大変多くあり、一蓮托生でもあります。


理解、伝承すべきは、展開上どのような役割をもつ場がお店や売場にあるべきなのか(なぜあるのか)、どのようなものが必要なのか(どうしてこのようなデザイン・形態なのか)、でしょう。「なんとかP」という呼び方も大事だけど、それぞれの意味の違いを考えたいですね。「売場の一番の顔」なら顔って呼んでもいい。「顔」がプロモーション展開なら、「プロモ」と呼んでもよくVPって呼ばなくてもよいのです。ただし、「顔」としての意味あい、条件をキチンと伝承したいものです。

 

これは何P???
これは何P???

「見せ場」

  • VP(ヴィジュアル・プレゼンテーション):店舗・売場の顔としてのディスプレイ

         「売場の特徴特性やテーマをわかりやすく発信する場」

  •  PP(ポイント・プレゼンテーション)特定の品揃えのグルーピングを代表するディスプレイ

         「売場の品揃えの輪郭をわかりやすく発信する場」

「売り場」

  • IP(アイテム・プレゼンテーション)  

         : 品揃え全体と単品単位の商品そのもの

 

本や資料に例えると解りやすいです。

  • 「表紙」= VP
  • 「目次」= PP
  • 「本文」= IP
これは何P???
これは何P???

 

売場設計でVPが重要なのは言うまでもありませんが、その場がもつ展開上の意味を実展開に落として想像すること、本当にその役割として使いこなせる場となるのか、単位は適正なのか、どんな使い方や表現をしたいのか、どんなテーマでどんな商品が来るのか、IPも兼ねるのか、そのお店(のコンセプトから考えて)に本当に必要なものなのか・・・といったことを商品担当や販売担当ともリアルに意見交換し、話し合って、配置や数や面積、形態を詰めていくことが重要ですね。

そしてなにより、いちばん大事なのは売場の人格を決めるのがIPだということ。これを忘れてはなりません。売場はIPがすべて。すべてがIP。と言っても過言ではありませんね。IPそのものがVPとなることが当たり前のいま、私もIPの重要性を布教していきたいと考えています。

「なんとかP」という呼び分けはしなくてもよいとか書きましたが、
少なくとも小売でMDingやプランニングを行っている方、デザイナーさんは、「場の役割」VP・PP・IPを正しく使い分けできないと恥ずかしいですよ!フィーチャーをフューチャーと言う人と同じくらい恥ずかしいです!関係ないか(笑)

 

おそらくこの先も変わらない「基本」ですから、正しく押さえておきましょう!