· 

原点に返れと

 

2020年・・・まさかこんな1年になろうとは。。

 

VMD業界にとっても大変な1年でした。小売業と店頭は委縮、特にアパレルは全世界的に大荒れ、よって経費も削減されて装飾演出方面も弊社のようなマーチャンダイジング寄りのコンサル方面も大打撃となりました。クリスマス装飾も、メリハリを効かせつつもさすがにかなり規模が縮小されていたようです。

 

NYの百貨店やスペシャリティストアでは例年のようなクリスマス装飾の賑わいが見られるようですが、国内外を問わず希望や感謝のメッセージを込めたものが多いとのこと。

 

インスタの各国VMD関連投稿も、今年前半は装飾演出系投稿は皆無だったものの、後半以降は例年よりシンプルなものが多いですがカラフルでワクワクする投稿が増えました。今はマネキンメーカーの投稿も息を吹き返し、VMD業界が動き始めたことが判ります。

 

最近インスタで保存したグローバルなVMDのお気に入り写真。この半年で随分カラーが戻ってきました。
最近インスタで保存したグローバルなVMDのお気に入り写真。この半年で随分カラーが戻ってきました。

 

 

こんなに世の中のシクミがガラリと転換したことって今までなかったでしょう。DX、SDGs、持続的開発…皆慌てて取組みだしているけど、今乗れていないともう遅い。そして、また2、3年したらまったく違うシクミや指標、考え方、新たな業態やブランドが登場し、趨勢も変わっているのでしょう。

 

それにしてもDX・・・

デカい企業のシステムやサプライチェーン絡みの話かと思っていたけど、社会のインフラや暮らし方そのものの話だったし、まさかリモートなんちゃらがここまで浸透するとは。。

 

私は今年はじめて大学の講師をやったのですが、まさかリモートでのスタートになろうとは。リモートといっても私はテキスト配信でやってしまったので意味合いはリモートとも違いますが、授業を始めた5月の段階ではそんなことすら解っていませんでしたよ(笑)

 

世の中の変化のスピードが恐ろしく早くなりました。

DXDXって今の時点で騒いでいるようでは時すでに遅し、お前はもう死んでいる・・・だそうです。

 

お恥ずかしながらリモートの何かに参加する機会を増やさねばマズいと思い、この2カ月くらいは空いている日に、外部企業や参加している学会・協会のウェビナーにガツガツ参加しました。

 

言うまでもなく、全体観としてはトレンドワードである「ニューノーマル」への対応と今後の予測をテーマにしているものが多く、その内容は勉強になりましたが、受講者として参加すると、全体構成、講師の話し方、テキストの内容、講義時間、質問の受け方、といったことが様々参考になりましたね。圧倒的に惹きつける話をする講師はテーマ性が強いし、話がよく解らない場合は構成自体が判りにくい。VMDとおんなじですね(笑)

 

自分がリモートの講義に一日を通して参加してみたり、様々な内容の講義に触れてみて、学校のリモート授業を受けている生徒の気持ちもなんとなく解ったような気がします。

 

今年加入した学会・協会のウェビナーでは、持っている情報が少ないこともあってすでに会員でおられる多くの参加者と同じようにはコミュニケーションが取れません。この感じって、今年の新入社員さん、新1年生さんと同じかな・・と思ったりして。この何とも言えない寂しい感じ!

 

リモートを上手く活用しつつ、自分から積極的にコミュニティに参加してコミュニケーションを取れるようにならないと上手く世を渡れない世の中になったようです。これに気付かされた2020年。

 


 

参加した様々なウェビナーの内容をギュっと絞ると、

 

「顧客という原点に返れ」

 

というシンプルなキーワードが抽出されます。どんなにシクミが変わっても、変革があっても、顧客を知る(分析する)ことなしにシクミの有効活用も企業の成長もない。勝ち残りのカギは顧客にあり。

 

DXだって、顧客と向かい合い、顧客の声を拾い、分析することなしには活きてこない。人の感性や感覚からくる購買をどう分析しカテゴライズし定量化するか。シクミ化自体が目的ではなく、顧客利便性を高めるにはどういうシクミが必要なのか。一人ひとりの感性の違いにどう対応するか。この観点でモノを考えることができる人を育てることもまた重要そうです。

 

相変わらず、ここが重要。デジタルもフィジカルも、人に出来てAIにはできないことってまだまだあるでしょうから。

 

あるウェビナーで使われていた興味深い言い回し。

 

「感性分類の美学的判断」。

 

知りたい知りたい。こういうことがAIでやれるようになると面白い(VMD稼業は大変)。「美学」はこれまでに色々調べましたが、ウェビナーで引用されていた参考文献は知らなかったので買ってみました。ドイツの哲学者カントの1790年!の著作ですが、1ページ目の1行目からコトバがわからない!

 

 

ア・プリオリな原理・・・って何だ!?
ア・プリオリな原理・・・って何だ!?

 

でも「趣味判断は美学的判断である」あたりの項が面白そうですので、正月休みに難解なコトバを調べつつ頑張って読んでみたいと思います。

 

岩波文庫 カント著・篠田英雄訳 「判断力批判(上)」
岩波文庫 カント著・篠田英雄訳 「判断力批判(上)」