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初めての決算を終えて

 

昨年6月に一人会社として起業しましたが、早くも初めての決算を終えました。本日、銀行で税金を振り込んでひとまず手続終了。あとは「一人株主総会」を残すのみ。

 

まずは一からすべて自分でやってみること体験してみることを目標にして、決算も自力でやってみました。

 

決算を含めた会社経理や税務の一連の流れ。

色々なことが判りました。

 

 

はじめから判っていたこと。私は右脳だけで生きているタイプで、経理とか事務作業は昔から苦手。前職での経験上も含め、痛いほど自覚しております。そんな私に、経理業務や決算業務が務まるのでしょうか・・こればかりはやってみないと判りません。

 

会社の経理とは何か。帳簿付けから給与支払い、所得税・住民税・社会保険料の徴収から年末調整、決算書作成から申告、納税まで、どんな仕事があってどのように処理手続されているのか。財務的な経営視点でのおカネの見方。人事労務的側面。前職時代に管理業務もしていたから凡そは理解していますし、弊社は仕入れがないから今のところ関係ないけど、棚卸の重要性も理解しています。

 

ところが。

これらすべてを自分でやらねばならないという。

「経理とは何か」というのも「金勘定と処理にまつわるシゴト」くらいしか、イメージでしか理解していなかったこと。それら諸業務が、どのような手続きを踏んで行われているのかは、社内会計システムの伝票入力と承認業務くらいでしか体験できなかったこと。これらをすべて実体験できるのですから(せねばならないのですから)恐ろしい・・・

日々、見たこともない提出書類や伝票が山ほど送られてくるし、こんなに色んなものを書いたり出したりしないと会社は回らないのか・・・

いや、実際大変ですよこれは。。会社に「経理担当」「人事担当」があるワケ、世の中に「会計事務所」「税理士事務所」が山ほどあるワケ、テレビで盛んに「会計ソフト」「ERP」のCMをやっているワケがよ~~~く理解できました。

 

結果的には、こんな自分でも、一人でもなんとかなりました。

 

経理の意味合いについては、ネットで検索すれば色々な説明がありますが、利益を生み出すために、節税するために、正しい会計を行って効果的に会社のお金を使おう!今の会社の状態をお金の流れで正しく把握しよう!ということかな‥と自分なりに思いました。

 

いちばんお世話になっている教科書、井ノ上陽一先生の「ひとり社長の経理の基本」。決算申告書の書き方が解りやすく解説されています。
いちばんお世話になっている教科書、井ノ上陽一先生の「ひとり社長の経理の基本」。決算申告書の書き方が解りやすく解説されています。

 

というわけで、一人でも決算申告と税の払込までなんとか到達したわけですが、解ったことは経理の意味合いだけではありません。

 

実務としての日々の経理業務の大変さ、行政各署への申告手続の煩雑さ。これらが解っただけでも、一人でやってみた価値はありました。初めから会計事務所とかに丸投げしていたら解らなかったかも。

 

まだ取引も全然少ないのに、知らないし慣れないから大変です。会計ソフトへの仕訳の入力とかも一から解らないので(笑)、簿記の本を読んでみたり、ネットで調べたり。とにかく余計な時間がたくさんかかります。まだ仕事が少ないからなんとかなった感じです。

 

年末調整の計算や法定調書作成も、税務署の説明会に参加したり手引書を首っ引きで何日もかけてやって、その割に最終的な源泉徴収票の記入が間違えていたことが後から発覚したり(税金払いすぎてた)・・ 雇用している社員のを間違えたらそれこそ大問題・・・

私みたいな人間が計算すると間違える・・ 人間ですもの。。

 

なんて言えないのが経理業務です。間違えたらダメ!!

 

荷が重い💀。。

 決算については、起業した時には会計ソフトさえ導入すれば決算書が自動的に出来上がって、それを提出して税金納めればいいんでしょ?くらいに軽く考えていましたが、これは大間違いでした。


会計ソフトで作れるのは決算報告書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表)まで。これだけでも十分ありがたいのですが、法人税申告にかかる大量の申告書類は自力で作らねばならない…と、決算書を作り始めたそのときに初めて知ったという。。それを知ったときには頭が真っ白になりました。

 

事前にそこまで調べて頭に入れてから起業する人の方が少ないのではないかとか、私のような「一人社長」の多くは私と同じようにその時にはなって初めてそれを知るのではないかと想像します。

いや、きっと本では読んでいたんでしょう。でも憶えてなかった。


とにかく決算申告するための書類数が多く、言葉が難しくて素人にはヒジョーに解りにくく、表記が小さく細かく、総合的に煩雑で、こんなの素人一人ではムリだろ!というもの。


とはいえ弊社は現状取引数も少なく、借金もなく、ケチして経費も殆ど使わず、仕入れも在庫もなく、免税業者で、赤字決算なので、申告書に記入する項目が少なくて済みました。計算も全く大変ではありませんでした。とはいえ、書き方をネットで調べたり参考書を見たりしてなんとか出来上がった、という感じです。

 

仕事が軌道にのって取引が増えていったり、利益が出たり、法人税をマトモに支払うようになったり、オフィスを持ったり、人を雇うようになったら私一人で正しく法定調書作ったり決算申告するのはムリかもな・・・  

 

でも会社である以上は、当然こういう状態を目指さねばなりません。


会計事務所や税理士事務所が世にたくさんあるワケだ。

法律や行政の書類に精通したプロにお願いしないと非効率なワケだ。

上場しているような大企業でも、期末からたった2ヶ月で、いや1カ月程度で決算をまとめて膨大な資料作って開示するんだから、社内外プロ集団のものすごいマンパワーと計算システムをフル活用されているとはいえ、いやいや恐れ入ります。スゴイと思います。

 

弥生会計様。決算書の作成で大変お世話になりました。
弥生会計様。決算書の作成で大変お世話になりました。

 

決算書や申告書の提出。要は法人税関係の申告書の提出先が弊社の場合は3つもありました。

 

①所轄税務署(決算書・法人税申告書・消費税申告書・勘定科目内訳書その他・法人事業概況説明書)

②都税事務所(法人都民税申告書)

③市役所(法人市民税申告書)

 

朝イチから動いて午前中に①東村山税務署③小平市役所を回り、昼食後に②立川都税事務所に行って半日で提出を終えました。窓口がまだ空いていたのでよかったです。

 会社を作るときも、母の死後の緒手続きや手じまいをしたときも思ったことですが、役所の手続きというのはどうしてこうも煩雑で解りにくいのか。書類が多すぎる。担当窓口が多すぎる。

 

もっとシンプルに、一本化・一元化に近い状態を目指せないんですかね。せめてワンストップで、一つの建物の中で全部終えられるようにならんものでしょうか。それこそ窓口業務がAIに置き換わったらワンストップになるのかしら・・・ 

 

だから代行してくれるプロがいて、商売として成り立っているのもわかるけど、プロに依頼すれば当然かなりのお金がかかります。

社長になった誰もが容易くこういうプロを雇えるわけではないでしょう。特に、弊社みたいにまだ手元資金が少なくてケチケチせざるを得ない会社は。

 

毎度毎度税務署や役所に行くのは大変!
毎度毎度税務署や役所に行くのは大変!

 

ということで、国税用の「電子申告(e-TAX)」も導入してみました(これの導入手続きがまた大変!)けど、毎月の源泉所得税の払込くらいにしか使えず、地方税用の「エルタックス(eL TAX)」なんてe-TAXに輪をかけてチョー解りにくく、3時間格闘しても上手くいかなくて結局諦めました。説明書なんて400ページもある。インターフェイスは事務的で字も小さくわかりにくいし、言葉が難しいのは紙とおんなじ。むしろ解りにくいのでは?

 

こんなの、御年を召された方などには絶対扱えないと思います。私だってそこそこPCは使える方だと思いますが、難解な用語の泥沼にはまって上手く使えません。使う人の立場に立って作られていないシステムの典型です。税理士事務所は業務効率化されるだろうけど。一般に電子納税が広まらないと言われる訳ですわ。使ってみてホントにわかりにくくて効率とは真逆の感なので、決算申告は紙でやりました。

終身雇用が保証されない今の時代、これから一人で起業して一人社長でちっちゃく活動していくスタイルは増えるだろうし、世の流れはそうなっています。立ち上げ初年度で売上が低い会社、赤字の会社は多いだろうと思います。そういう会社、特に一人会社にはなかなかキビシイな、と実感している今日この頃。

 

国も独立起業を後押しし始めていますから色々な起業支援の制度や融資がありますが、起業間もない小規模の会社に、正しい決算申告や法定調書作成のために、勉強する機会という意味も含めて、税理士・会計士を雇うお金を助成してくれる仕組みがあればいいのに。

 

今のところ借金をする気はありませんが、補助金や助成金等のことをもっと調べないと。まだまだ調べねばならないことがたくさんありそうです。