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初心のVMD

 

暖かくなりいよいよ桜が咲き始めましたね!

しかし世の中は新型コロナの勢いが増すばかり。言うまでもなくリアル店舗は全世界的に大打撃を受けていますので、小売店舗あってこそのVMD稼業も大打撃を受けています。弊社とて同じ。小売業の皆さん、VMD事業の皆さん、なんとかこの苦難を生き残りましょう!

って、前回も書いてますね・・・

 

3月は仕事が結構キャンセルになりまして、4月から新たに始まる予定だったものも含め延期か中止・・みたいな感じで保留になってしまっています。いつ話が戻るのか、戻らないのか、まったくわかりませんよね。それだけコロナの影響のタームと展開は先が読めないし、小売店舗では客足も売上も急激に減ってしまったわけですから。言うまでもなくインバウンド集客が強い首都圏の大型店舗はその影響が大きいですし、ただでさえ密室での会議や集合を企業努力で避けねばなりませんから教育事業も打撃を受けております。こんな時のために配信コンテンツを準備することの重要性を、今更感じたりしていますが・・

 

そんな折でもこれまでと変わらず継続してお呼び頂きお仕事をさせて頂けるクライアント様には感謝しかなく、この場を借りてこっそりと御礼を申し上げます。仕事に行ける嬉しさとありがたさ!そういうシンプルな感情を抱く今日この頃。

 

そのクライアント様の店舗は地方都市にありますが、コロナの影響を受けて物産催事が中止になるなど売出計画に影響を受けています。この数年客足自体は減少の中で頑張っていますが、3月は地場顧客、特に若い人や子供連れの来店が増えているように見受けられます。人混みというほど混んではいませんし、無論買い物は楽しめるしゲームコーナーも大きな書店もあるから安心して来店できるのかも。こんなときは地元で気晴らしに買い物!というムードにもなっているかもしれません。

 

全体的にはミドル&シニアのコンサバな品揃えが多い中、入店口となるグランドフロアは若い顧客にも十分支持されるコスメやトレンド感のある雑貨を揃えていますので、これをキッカケに他のフロアにも歩き巡って頂きたいものです。そういう商品も各フロアにちゃんとありますからね!

 

ということで、メインのディスプレイに出すコーディネイトや、時節柄のギフト提案の構成を考えるお手伝いをしたりするにも、極力売場やフロアをまたいで、クロスマーチャンダイジングで構成するようにしています。上のフロアにもこんな素敵なものがありますよ!って。

 

テーマを明確にすること、そのディスプレイは誰に見てもらいたいのか、誰を捕まえたいのか・・という対象顧客設定の側面も重要ですが、ディスプレイする商品の中で顔となる主役を明確に立たせることと、背景にあるストーリーをきちんと(事前に頭の中で)描いてから商品セレクトすることを意識して取り組んでいます。こういうことを考えて構成する力と習慣を皆でつけたいな!と。

 

これらを、店舗のVMD担当者と一緒にあーだこーだと楽しく考えて明確なイメージをつかんで、売場に行って売場の方にそのイメージを伝えて一緒に商品セレクトに参加して頂きます。他の売場から持ってきた商品に合わせて、これ合いますね!これはどうですか?ってコーディネイトアイテムを拘ってセレクト。一つの提案ストーリーに合わせ、テイストがブレないよう気を付けながら、フロアも超えて楽しくディスプレイコーディネイトの構成要素を決めていきます。売場の方も、色々な商品を積極的に提案してくれますよ。平場もショップも垣根を超えてみな手をつなぎます!

 

たかがディスプレイの話ですが、規模は小さくてもこの手続きはまさしく「編集」であり、お客様のことを考え意図して品揃え展開するマーチャンダイジングそのものです。

 

ディスプレイした主役級商品とそれを彩り整えるコーディネイトアイテムは、テーマを帯びてストーリーを放ちます。

素敵に見える置き方並べ方を見つけ出してお客様の目を惹き、足を留め、購買意欲を喚起します。

靴に関心を抱いたお客様が、靴売場まで足を運んで買ってくださいます。マネキンが持っていたバッグが売れ、着ている服が売れます。売れると嬉しいですね!靴を買って下さった若いお客様は、いずれまた靴売場に戻ってきてくださるでしょう。自分の欲しい靴がそこにはあるかもしれない・・と判って頂けたのですから。

 

どんなお客様がそのバッグを買っていきましたか?なぜそのバッグをお買い上げになったのですか?とヒヤリングを重ねる習慣も付けて、さらに目を惹く、購買意欲を喚起するVMDの構成力を磨きたいものです。

 

こういったことは、小売業サイドのVMDにおいては極めて「初心に還る」話だと思います。

 

前職時代は私も、若手の装飾担当の頃や店舗のVMD担当だった頃は特にリアルにディスプレイのセレクトに関わって、売場の担当者やスタイリストさんデコレータさんとあーだこーだやってました。ホントに楽しかったですし、売れた売れないで一喜一憂したものです。

 

いつの間にかそういうリアルな現場マインドを失っていたかも。そんなことを思い出しながら、私自身VMDの初心に還ることが出来ていると感じる今日この頃。この歳になってもまだまだ学ぶことが多いです。店頭に出て楽し気に商品と触れ合っているとお客様も思わず寄ってきたりしますね。VMDはコミュニケーションツール!

 

ギフト提案のケースVPのひとつ。「就職祝いにお母さんから印傳のバッグと手鏡をもらって嬉しかった」というVMD担当者のエピソードを聞いて再現することに。人気の赤ライン✖花柄で印傳の手鏡とメガネケースもセットし、同じ色のMACのリップもコーディネイトしました。ストーリーを共有しショップの垣根を越えてのコラボ。シンプルだけど大人っぽいスタイル!黒子のお手紙はお客様が読んでくれます。
ギフト提案のケースVPのひとつ。「就職祝いにお母さんから印傳のバッグと手鏡をもらって嬉しかった」というVMD担当者のエピソードを聞いて再現することに。人気の赤ライン✖花柄で印傳の手鏡とメガネケースもセットし、同じ色のMACのリップもコーディネイトしました。ストーリーを共有しショップの垣根を越えてのコラボ。シンプルだけど大人っぽいスタイル!黒子のお手紙はお客様が読んでくれます。

 

VMD演出予算が現状でもキチンとついて運営されている店舗様も多いとは思いますが、装飾や空間づくり場づくりのためのVMD投資予算が縮減される傾向にある今こそ、リアル店舗のVMDは初心に還って、自ら考える力と、商品のみで表現する(商品のみでも構成できる)ベース力を戻していく良い機会にできるかもしれません。

 

昼食でたまたま隣席におられたクライアントの専務様が仰いました。

「お金かけずともVMD出来ますね」って。

出来ますよ!しかも楽しく!

 

そしてまた経費が使えるようになりますから、その時は思い切り演出表現しましょうよ!