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かこさとし展

 

大学の授業15コマが終了し、ホッと一息。

今年から始まった専門学校の授業も並行してて、そちらの教材を作るのが大変!

 

夏休みでちょっと余裕ができたので、この機にまだ見なかったトップガンや美術展を観に行くぞ!と思ってます。

 


 

まずは観に行きたい美術展の筆頭、「かこさとし展」に行ってきました。

 

かこ先生は残念なことに2018年に他界されましたが、「からすのパンやさん」や「だるまちゃん」のシリーズ等の絵本で多くの方にお馴染みでしょう。私も、幼稚園の時にかこ先生の絵本と出会って、幼いながらに魅了されました。先生の画風や画面構成から、自分の好みの画風や現在の仕事・・陳列への拘り・・など完全に影響を受けています。

 

中でも特に「海」という科学絵本に大きな影響を受けていまして、その細かい描写とダイナミックな構図に心惹かれて、とくに海に行く機会の多い夏休みにはよく読んだものです。

 

これらの原画は展示されているのだろうか・・・?

 

されているに違いない!!

 

「からすのパンやさん」の、あの美味しそうなパンの原画を見たい!パンの色をこの目で確認したい!!

「海」の筆致をこの目に焼き付けたい!

 

 

ということで、チケットを予約して渋谷のbunkamuraへ。

 

隣接の渋谷東急百貨店本店は来年の1月末に閉店、高層ビルに生まれ変わるようですが、bunkamuraは残るそう。大学生の頃はセンター街や道玄坂の居酒屋に毎日繰り出してましたが、bunkamuraは当時まだ開業したばかりだったのと、瀟洒な周辺環境のせいもあって、時折クラブの面々とカッコつけて寄ったものでした。

 

その後もちょくちょく行く機会はありましたが、いま行ってみると東急百貨店本店周りはちょっと場末缶があって寂しく感じます。もはや瀟洒にも感じませんが、ここに高層ビルがそびえるとどうなるんだろう・・・

まったく想像できません・・

 


 

などなど考えつつ、B1Fの会場へ。

 

 

 

日曜は事前のチケット予約のみのようで、チケット買うのに並ぶ人もおらず会場前は人があまりいません。もしかしてガラ空き!?と思ったら、結構混んでました。

 

さすがかこ先生、小さなお子さん連れの家族からお年寄り、学生さんまで幅広い集客。当然ながらかこ先生の絵本のファンだったり、読んだことがある人が多いようで、懐かしいわね~という声、かわいいね~、綺麗ね~といった感嘆詞がそこかしこから聞こえてきます。

 

母が大好きだった「とこちゃんはどこ」の原画が1点あったのが感激でしたが、とこちゃんだー!と叫んでる女の子がいて、変わらぬ人気ぶりを再認識。

 

展示の中でもやはり「だるまちゃん」シリーズの原画のあたりは並びが多く、進みもゆっくり。でもかえってじっくりと原画を堪能することができます。

 

途中途中で、忘却の彼方だったけど幼稚園の頃に読んだことがある絵本の原画が出てきて(「あおいめ・くろいめ・ちゃいろのめ」とか「はははのはなし」など)、見た瞬間に記憶の抽斗が開きました。強烈なインパクトを持って脳に刻み込まれているものです。ちょっと涙が出ましたよ。

 

そして、「からすのパンやさん」、原画ありました。

あの見開きの、こんがり焼けたパンの絵も、かわった形のいろんな種類のパンの絵も。感動でしばし釘付け。目に焼き付けてきました。

 

このパンの絵の美味しそうなことよ。
このパンの絵の美味しそうなことよ。

 

科学絵本の「海」は「地球」「宇宙」と合わせて3部作になっていますが、こちらはなぜか原画の展示が乏しく残念でした・・・期待していた「海」の原画はなし。なぜかしら・・・

 

でも、「地球」と「宇宙」の力強い下絵が展示されていて、先生の生々しい筆致や直筆の文字の書き込みを観ることができました。ため息の出るものでした。

 

この絵の原画が観たかった!!
この絵の原画が観たかった!!

 

「海」の原画がなく少々ガッカリしていたところに、最後に強烈な展示が待っていて、これで一気に気持ちが上がりました。絵本の原画とは全く異なる、未完の大きな図版。最後の最後の展示品にしてはじっくり観ている人が少なかったように思います。おかげでゆっくり観察できました。

 

「宇宙進化生命変遷放散総合図譜」。ぜひ多くの人に見て欲しいです。

 


 

展示が終わると、最後にからすのパンやさんのフォトスポットが。

 

あの見開きの変わりパンがぜんぶ立体化されている模様!!

 

みんな大好きパンダパン、かみなりパン、こいぬパン!!
みんな大好きパンダパン、かみなりパン、こいぬパン!!
お!スネークパンもあるぞ!!
お!スネークパンもあるぞ!!

 

ということで、かこさとし先生の著作に触れたことのある方、記憶に刻まれている方に全員におススメできる、観るべき展覧会です。

「夏、渋谷で出会う。少年、少女だった頃の私に。」というコピーは、まさにその通りでした。

 

かこさとし先生の深い見識、洞察、視点、世界とものの見方に感嘆せずにはいられないでしょう。ものごとの本質をシンプルに解りやすく図解し、表現することの重要性に改めて気付かされます。それには周りを取巻く世界や構造全体を鳥瞰できていないと・・ということなんですね。

 

1975年頃に買ってもらった当時モノ。今でも宝物。「とこちゃんはどこ」もあったはずだが・・
1975年頃に買ってもらった当時モノ。今でも宝物。「とこちゃんはどこ」もあったはずだが・・

 

渋谷は行くたびに景色が変わります。

久しぶりにセンター街を抜けて駅前に出ましたが、スクランブルスクエアがそびえて景色がすっかり変わっていました。ブレードランナーの未来都市のような・・・

東急百貨店本店跡地がどうなっていくのか楽しみではあります。