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彩ユニオン展示会 SAIUNION STYLE 2019 EXHIBITION

 

6/6・7の二日間で、マネキン事業者3社が展示会を行いました。それぞれにテーマを持った工夫にあふれる展示でなかなか面白かったのでマネキンマニアとしてブログ上で記録として残しておこうと思います。

 

ここでは彩ユニオンさんの展示会をご紹介。

 

彩ユニオンさんといえば首都高羽田線を走っていると見える精悍なビルとSAIUNIONの文字で昔からお馴染みですが、ここ数年マネキン愛好家の中では人気と注目度が鰻昇りの感がある、老舗であり気鋭のマネキン事業者さん。

 

私は前職で若手の頃、目黒雅叙園とかオークラあたりで催す呉服系店外催事のリース什器発注で、特殊な調度や和装ボディを(山元経由で)彩ユニオンさんからお借りしていました。和装マネキンから発祥しているメーカーさんですので、そいう品揃えが豊富だったのだと思います。その時の印象が強かったので、後日彩ユニオンさんとお仕事上の接点を再構築させて頂いた際、昔の印象とのあまりのギャップに驚きを隠せなかったものです。

 

今の印象とは、オランダのハンスブートマネキンやイタリアのSLIDE社のインテリア製品といったライセンスの海外製品ラインナップと、UP!シリーズと名打ったリース什器やテントなどのオリジナル製品ラインナップの、「デザインセンスがよくスマートにとんがった気鋭のテイスト」というトータルの印象です。この印象はハンスブートマネキンとそのランナップを知ったときにまず身に覚える感覚ですが、その後に什器ラインナップを知ったとき、ショールームを訪れたとき、社長をはじめとする従業員の皆さんとお話をさせて頂いたとき、そしてそれらが一体となる展示会を訪れたとき、全てにおいてブレずに感じる印象です。

 

このような統合的なイメージを製品から企業イメージまで一貫して抱かせるというのは、ビジュアルイメージの創出を司る事業者としての在り方を、率先垂範有言実行で我々に示しているものと受け止めています。

 

ちょっと褒めすぎ(笑)

 

 

今回の展示会は、これまた気鋭の社内若手女性デザイナーさんが初めてドーンと任されて全体構成とディレクションをご担当されたとのことで、後半で私がお偉方に捕獲されるまでの間、丁寧に各ブースのご説明を頂きました。会場創りについての拘りとご苦労が、設計者から直に聞けるというのはこれ以上ない喜びです。

 

先にまとめてしまいますが、先に触れた企業イメージと商品ラインナップとこの展示会イメージが見事に一致しておりまして、よく頑張ったね!!次回も楽しみにしてますよ!!という期待に包まれたものでした。

 

 

受付を済ませていざ会場へ!ですが、会場に至るまでに最初のシカケが。黒いカーテンをくぐっていくので、お化け屋敷に突入するようなワクワク感・・・真っ暗な空間でいったん気持ちがリセットされました。そしてまたカーテンをくぐりますと、このような空間に出ます。

 

彩ユニオンさんのレンタル商品の中でも今回基軸商品として扱っているフレームユニットに対し贅沢にもミラーパネルを貼り込んで、闇とデジタルの煌めきとインテリアの光が写り込んで広がる「森」を創り出していました。なんとミラーパネルもレンタルで!?と小躍りしたところ、これは造作的処置だそうで・・ レンタルできたら凄いですね!

 

ここでみなホッと一息し、わー!っとなり、写真を撮り(笑) 次にはどんな空間が広がるのか・・・と期待が高まります。

こういう没入空間の演出は体験に紐付きますから参考になりますね!

THINKN' GO !!

 

 

立体的なディスプレイと一体化されたビジュアルボードがドーンと出迎えてくれますが、これが造作壁ではありませんでした。ブラック&ホワイトのコントラストが映えています。

 

共通フレームにシート貼りした鉄板を仕込んでおり、マネキンパーツを含むディスプレイツールにはマグネットが仕込まれているので任意の場所に脱着可能!という優れモノです。

バーティカルなディスプレイは昨今様々なお店で見ることが出来ますし、売場のストアプランでも「この壁にはマグネットでPPつけるからネタ(鉄板)仕込んでおいてください!」というインプットをよくやったものですが、リースの選択肢でシートデザインまで含めてここまで柔軟に対応できるとしたらなかなか素晴らしいと思います。

 

小棚もフックも実に脱着がしやすく、このあたりは社長の拘りだそう。それにしてもよくこんなに気前よくマネキンを切ったもので(笑) 若手デザイナーのチャレンジを応援する企業姿勢に好感が持てます!

 

前出の京屋さんの展示会のように、「これ丸ごとでいくら」というリーズナブルなプレゼンが用意されていたら、より現実味を帯びる展示となるでしょう。

 

 

彩ユニオンさんの独自ラインナップであるテントや、UP!シリーズの一角を担うトラスのシリーズ。ファクトリーっぽい(SASUKEっぽい!?)独特のテイストがうまく伝わってくる構成ですが、特にトラスはそれ自体のプロダクトとしてのデザインが美しく、トラスとしてだけではなくライザーやひな壇としても使えるもの。実際にVPステージや、アクリル天板を載せたテーブルなども展示されていました。今回は小サイズのトラスも新登場しており、より新たな使い勝手を楽しめるものとなっています。

 

 

うっかり写真を撮り忘れましたが、彩ユニオンさんも他社と同様、フォーカスゾーン構築用「やぐら」「フレーム」の製品化を進めておられます。今展示会も、会場全体にそのフレームが張り巡らされており、前述のようにUP!シリーズの中のレンタル什器としての位置づけです。

 

平面的にも立面的にも視認性の高いゾーンを空間中に切り出せるだけでなく、壁や展開機能も取り付けられ、一定のピッチで高さや幅も増やせ、見通しも担保できるやぐら。近年急速に広まっていった手法ですが、いくつかの「やぐらルーム」を連結することで大空間を一つの「傘フレーム」で牛耳る手法を見せてくれます。

 

これだけの量のフレームをレンタルで持っているなんてすごい!と言ったら、今回の展示会のために奮発して作りました!だそうです。皆さん、どんどん借りましょう!

 

 

私が今回非常に感銘を受けたのが、「よりそう」と命名された柱巻システムです。催事スペースだけでなくインショップなどにも必ずといっていいほどある柱。素で素敵に出しておくパターンも柱が細い欧米では見受けられますが、日本ではなかなか。

 

柱は使いにくいので、大体横にFRがついたり、ミラーを付けたり、接客機能が付加されて、リレーション上レジカウンターバックになったりも。なので壁面構成されても臓物だらけで汚くなることが多いのです。造作で棚を巻いても大きくなるし。

 

そんな柱巻にピッタリよりそってフィットし、気の利いたアクセント意匠を付加することができるライトな什器システムです。柱1本あれば、これでPOP UP も可能だし、売場だけでなくホテルロビーなど様々なシチュエーションで使用できそうですね。

 

 

前職時代に初出の展示会で衝撃を受け、とある場所ですぐに使用を画策するもかなわなかった・・・ 個人的に曰くつきの什器、マッシュルームシリーズ。元々は名前の通り、クルリとサークル状に組んで使う画期的なデザインです。伊勢丹の2Fで延々使われたりもしていますが、このマッシュルームに真っすぐなものがラインナップ!ということで、組み合わせると結界感と見通しを両立した素晴らしいR型両面壁面になるという!しかも板はその角度を任意に変えられる(ようになるらしい)という凄いものです。展示会などのゾーン別けを兼ねたインパクトウォールの構築に持ってこいですね。

 

 

どのマネキン事業者様もオシャレでシンプルなテイストのリース什器を競うように開発されていますが、彩ユニオンさんのラインナップもデザインと使い勝手を両立したものがどんどん増えています。仕上げも色々試行錯誤されているようで、今後の展開が楽しみです。

 

我が家の廊下もこんな風にしたい・・・こんな広くて長い廊下がない・・
我が家の廊下もこんな風にしたい・・・こんな広くて長い廊下がない・・

 

今展示会はリース什器のラインナップがメイン会場を占拠しており、マネキンは渡り廊下を介した接客ゾーンに集中していました。皆さんお目当てのハンスブートの新作も今回は展示が無かったわけですが、それでもは彩ユニオンらしさは随所に。冒頭の暗い森からSLIDEのインテリア製品が随所に展開されていて、イイ雰囲気を醸成していました。一般家庭への販売も、星野リゾートあたりにでも売り込んでみては?と思うような多様なデザインのワクワクさせられる製品群です。

 

この渡り廊下も、再びすごい没入感で気持ちをスッキリとリセットさせてくれます。

 

マネキンの付属品ではないサーフボードの固定と角度、マネキンの重心の付け方にご苦労されたそうです!
マネキンの付属品ではないサーフボードの固定と角度、マネキンの重心の付け方にご苦労されたそうです!

 

渡り廊下を抜けますと、ハンスブートマネキンと彩ユニオンオリジナルマネキンの展示が。ハンスブートのサーフィンマネキンやバイクマネキン、ゴルフマネキンのダイナミックな展示にしばし目を奪われます。

 

設営が大変だったそうで、現場合わせのセッティングの試行錯誤や、その道の玄人の方々の各マネキンに対する様々なご指摘といった楽しくマニアックなお話を色々お伺いし、あっという間に時間が過ぎていきました。

 

渡り廊下を過ぎたあたりで拉致され、二つの隠し部屋へと通されました。VIPルームではありません(笑)

 

一つの内容は書けませんが、もう一つは3Dプリンターでマネキン原型を作る時代が来た・・それはもう全世界で行われつつある・・という衝撃のプレゼンでした。

 

デザイナーが描き起こしたデッサンから3Dデータを起こし、そのデータから3Dプリントして直接マネキン原型を作る。個別の修正や特注もデータの修正で一発。実物大の粘土原型はもう不要・・

データで自動補正するから、完全シンメトリーな造形も簡単にできる。

 

いやいや。さすがに細かなニュアンスは人間がフィルターかけたり造形補正しないとおかしくなるでしょ。いな、ならんのだそうです。

 

実際、そのようにして送り出されたハンスブートの新作"MUSE"シリーズは、完全シンメトリーな構成で度肝を抜かれます。この1週間くらい、インスタでやたら新作マネキンらしいpicが出回っていましたが、このMUSEシリーズのカタログ写真でした。

 

早く実物のコンポジションが見てみたい!!

 

マネキンマニアとしては、このような話題に盛り上がらないはずもなく、お話頂いた宮木さんとは2時間くらい話し込んでしまいました!

 

完全シンメトリーのMUSEのコンポジション!スゴイ!
完全シンメトリーのMUSEのコンポジション!スゴイ!

 

といった内容の彩ユニオンさんの展示会でした。

 

"SAIUNION STYLE"と名打たれていた通り、トータルの製品ラインナップから受ける印象が、確かに企業のスタイルとしても一致しているように感じます。それは柔軟でチャレンジングで気鋭なスタイル、デザイン性とコーディネイトに優れたイメージ。

 

ハンスブートマネキンのイメージも巧みに自社ブランディングに活用するだけでなく、自社製品のラインナップや展示会の構成も全て一丸に包んで周到にブランディングを行う統制力。

 

今後もこのスタイルを維持していただき、我々をアッと驚かせて頂きたいものです。

 

ハンスブートマネキン、UP!シリーズ、SLIDEシリーズの各カタログ。素晴らしい内容ですから、ぜひ一度中身をご覧頂くことをおススメいたします。
ハンスブートマネキン、UP!シリーズ、SLIDEシリーズの各カタログ。素晴らしい内容ですから、ぜひ一度中身をご覧頂くことをおススメいたします。