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学生のビジネス志向を感じ取る

 

夏本番、連日暑いですね~。

コロナが勢いを増すばかりの中、引き籠ってオリンピックを観るばかり。ワクチンを打ちたいけど予約取れず、市のキャンセル待ちアプリで張り続けてようやく2枠確保。ホッとするも、緊急事態宣言とともに消えてしまったお仕事は戻らず・・・この状況いつまで続くのやら。

皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

 

7月で大学の授業2科目15コマが終了。評価採点も終わり、今年度の講師業務を終えました。昨年は教材配信による完全リモートでしたが本年は全コマ対面で完全実施することが出来ました。

 

自分で構築したコンテンツ、上手く喋くることができるか前編通しでやってみないと判らない状況でしたが、やってみたら全く問題なし!但し、学生には過剰な内容だったかも…という感じでした。

 

コンテンツの過剰感・・・

我ながらちょっとマニアックすぎるとか、事例解説や枝葉の具体例が多すぎるとか、表現変えてるけど内容が重複してるなとか、喋ってみて感じる違和感や学生の反応を見て感じる部分がかなりありました。反省・・・

 

書いて提出してもらった課題を見ると、明らかに理解してもらえていないこと(「展開分類」や「理念」など)があって、それは授業の根幹だったりする・・・重要だから必ず記述するようルールにしておいても、書けないものは書けない!ということが判りました。

 

展開分類や理念・・社会人になっても難しい話題だからね~。。

 

ムダを省いて、もっと根幹を丁寧に解りやすく時間を割いて説明しないとダメなようです。紹介する事例も、捻りに捻ったマニアックな編集売場とかより、小さくて親近感のわくお店の方がピンとくるようです。

 

来年はもっと良いテキストにして出直す!

 


 

2つの授業の最後に取り組んでもらった課題は、

「自分がやりたいお店とVMD」「自分がやりたいマーチャンダイジング」を、取扱MDも含めそれぞれ自由に設定して、授業内容に沿った項目・構成で具体的に記述してもらうというものですが、興味深いのは、VMDにしてもマーチャンダイジングにしても、やりたい商売・・取扱品目としての関心の幅=商売の範囲に捉える顧客やMDの幅…が、極めて具体的で狭く、対象顧客が限定的なことです。無論悪いことではありません。内容が具体的な証拠です。

 

これは、近年のECにおけるリスティング提案や、検索による関心興味の絞込み、リテールにおける趣味性の深化とマニア度の対応幅の拡大によるものか・・・と思われるフシもありますが、時代の流れかもしれません。

 

極めて明確に対象顧客と属性を設定している学生も多いし、特定のアイテムや用途に特化した設定をしている学生=やりたいことが明確な学生も多い。事業計画書として見たら面白いものがたくさんあります。「シームレス購買ネイティブ」と言えるZ世代だから、リアルもECもSNSもナチュラルに紐づける。ECに特化するという案も多い。こういうところ、マーケティングとしてとても勉強になります。

 

服飾を軸とするファッションビジネスの学校ですが、提出してもらった課題の内容を分析すると、純粋にファッション(衣料と雑貨)リテールを志向している学生は全体の2/3、衣料だけだと1/2にとどまります。

 

飲食や生活雑貨の店を志向する向きも多く、全体の1/4に当たります。残りはコスメ志向です。

 

そしてこのシェアバランス傾向は2科目ともほとんど同じでした。

 

服飾を軸とするファッションビジネスを学びに来てるんじゃないの!?・・ということをまず思うのですが、マーチャンダイズミックスとライフスタイル表現が当たり前のいま、飲食もファッションだし、ファッションとコスメを組み合わせるのも当たり前。衣料だけではファッションを表現しきれない。学科にもよりますが、授業の内容によっては、教える側が時代に即してもっと幅広いマーチャンダイズの知識や店舗形態の知識を講義の中に含める必要があるのかもしれません。

 

なぜ飲食や生活雑貨をテーマに選んだの?いつも衣料や雑貨のことを勉強している反動?食品や生活雑貨の方がマーチャンダイジングの組立やVMDが面白そうだから?本当に衣料や雑貨よりそっちの方にお仕事の関心が高いの??意図をぜひ聞いてみたいです。

 

いずれにしても、百貨店やアパレルメーカー等大企業の苦戦の時代ということもあって、ファッションビジネスを志向する場合、理想とする商品カテゴリの大きさやマーチャンダイジングの幅、会社の図体が今後どんどん小さくミニマルになっていく予感がします。

大企業でなくても、規模が小さくても、顧客と直に繋がって世界中にファンを作れる時代ですから当然ですね。グローバルに稼ぐようになればリアル店舗を持ってなくても商品カテゴリが狭くてもダイナミズムはデカい。当然、ムダもロスも少なくなる。利幅もより大きい。

皆、そこを解っているんです。「サスティナブルネイティブ」のZ世代でもありますから。

 

教える側も昭和~平成の大企業の成功談ややり方、事例紹介からシフトチェンジできないとダメですね・・・

デカい百貨店のデカい平場の事例とかで説明してもよく解ってもらえない訳です。

 


 

マーチャンダイジング課題中で「販売サービスについても必ず言及せよ」とお題にしてあったのですが、数人の学生から「サービスって何ですか」という質問を受けました。勿論授業内では説明をしていたものの、今はECも含め低価格でセルフ形態の店が多いし、景気が悪くなって随分長いから販売サービスや重コンサルをウリにしているお店にお買物にいく機会も少ないか・・・行くなら親の買物についていく感じだろうし・・・実際我が家もそういうお店全然行ってないし・・

 

体験的に丁寧な接客・接遇のようなサービスを受ける機会が少なく、サービスという概念にピンとこないと思われます。 

そのせいもあってか、接客はするのも受けるのも嫌い、めんどくさいからリアル店舗をやる気は全くないという学生も多いです。

 

サービスについては小売店舗よりディズニーランドとかを引き合いに出して説明した方が理解してもらえるのかもしれませんね。

 


 

売上規模の追求が全てではなく、顧客との共感や信頼関係が築ければ、自分の理念や商売の価値観と商売の持続化を可能とする利益が成り立てばよい。 そして商売が世の中の役に立って、顧客の不満を解決するもの、サスティナブルな社会の実現につながれば。

 

学生は確実にこのようなマインドになっています。

 

教えている我々はどんどん高齢化していますけど、これまでの知識に偏らず、商売…マーチャンダイジングやサービスの幅や価値観の捉え方をより柔軟にしていかねばならないようです。そして実際にウェブサイトを作ってみたり、SNSで発信してみたり、そういうことを実体感できていないと、マーケティングやビジネス系の授業ではZ世代が腹落ちする内容で教えられない・・ということになりそうです。

VMDの授業ですら。

 

いまどの先生でも言ってるICT、DX、サスティナブルがこれから重要だよ!とかってことは、我々の世代から見ると従来のやり方と明らかに比較出来るし、実際この2,3年で変わってきたことなので実感としてそう思うわけですけど、いまの学生にとっては高校の頃には既にそうなっていたか、なりつつあったわけなので、むしろボクらの世代の「従来のやり方」や常識論にピンとこないでしょう。

 

従来のやり方は「基本」としていまだ重要なのは間違いないのですが、問題は教える側がいまどきのやり方をいまだにイノベーションの枠に括って特別視していること、最新のネタややり方を体験体感してないことだと思います。

 

これは小売企業にもそのまま当てはまることで、世代はいつか必ず交代するから、Z世代が購買力をつけて今のシニアシルバー層が激減する将来に品揃えや売り方見せ方、世界観やコンセプトが変われていないと「お前はもう死んでいる」となりかねません。あくまで対象顧客設定によりますが・・・

 

若い人が来てくれない買ってくれないではなく、若い人が来たくなる場ではないし買いたくなるものもない=「新たな顧客像としてちゃんと見てない」 ということに気付かないとマズいですね。

新たな顧客としてつかまえたいならこちらが変わらねば。

 

・・・などと考えさせられます。自戒を込めて。

          俺は何を変えることが出来るのか・・・

 

Z世代の学生から学べることはとても多いです!

 


 それにしても、キラッと光る素晴らしいビジネスモデルを今回もいくつも見ることができたのが嬉しい。

 

最後まで頑張って出席して課題書いてくれた皆さん、

授業中にオリンピック観ていた君たちも、

みんな頑張れ!

 

オッサンも頑張ります!