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これからのVMD推進体制

 

徐々に春らしくなってきました。

 

あとひと月もすれば新学期に新年度。わが家も次女が高校生になりますし、私も会社の5期目をなんとか開始できそうです。

 

2019年の10月からVMD顧問としてお仕事をさせて頂いた地方百貨店様。

この2月をもって顧問業務終了!となりました。2年半に渡りVMDのアドバイザリーをさせて頂きましたが、私が頂いたミッションは「VMD推進体制の構築」でした。

 

顧問就任に合わせてVMD実務のスタッフが営業の本部に2名任命され、わたくしからの提案書に基づき売場のVMD推進者も任命されて体制が座組みされました。その後、本部のVMD推進者2名とひとつづつ実行項目を達成して、予定通り1年でVMD推進体制が「自前で」回るようになりました。

 

2年目からは更なるVMD実務の精度向上を目指しましたが、コロナの影響もあってお伺いする機会が減ったり、VMD推進者も店頭応援が増えてなかなかVMD実務に時間を割くことができなくなりました。このあたり、おそらくどの小売でも少なからず同じような状況があったかと思います。経費も抑えねばなりませんしね。

 

そんな状況下でも、全館のVMD計画はしっかり進めてくれて、各階の売場担当者もしっかり準備をしてくれました。コロナの影響でなかなか新商品が入ってこない中、皆で工夫しながらディスプレイを回してくれました。フロアの垣根を越えてクロスマーチャンダイジングを積極的に行っていましたが、本当に素晴らしい一体感でした。

 

そんなふうに、自前でVMD推進体制が回るようになりました。

 

私は初めに起案提言し、あとはアドバイザーと実地指導に徹して随走させて頂きました。今月でその役割が無事に終わりました。社長から「推進体制は構築された」とのお墨付きを頂きました。嬉しいですね~!!

 

当の推進者たちからすれば、私のような役回りがいたので面倒でも推進体制を回さなければならなかったのですが(笑)、結果的に知識もスキルも身に付いたとのことでとても喜んでもらえました。この2名の実務担当者は本当に前向きに真剣に取り組んでくれました。メキメキとプランニングスキル、運営スキルが上がるのを目の当たりにしました。

 

そしてこの2年半で本当に感心したのは、2名の上司であるマネジャーさんの動きです。百貨店VMDはマネジャーや部長、店長の関心の持ち方次第で良くも悪くもなりますが、このお店の担当マネージャーはすべての営業計画実務を担っているのに、VMD推進にも最大限関心をもって取り組んでくださいました。こういうのってものすごく重要なんですよね。彼は屋台骨として今後もしっかりVMD推進体制を維持継続してくれるでしょう。

 

そしてこの1年、とても考えさせられたことがあります。

 

スタッフ要員減と業務増の中、VMD実務者の業務が増えました。SNSとプレスです。VMDに手が回らなくなり、店頭巡回の時間も取るのも難しいような状況に陥りましたが、徐々に状況は改善されてきて今では上手く両立できています。

 

当初は業務分担にムリがあるのではと思っていましたが、今ではとても理にかなっていると思うようになりました。

 

私はVMDを「展開の統合的な視覚化(とそれによるブランディング)」と定義していますが、リアル店舗の「マーチャンダイジング・環境・装飾演出」の統合だけでなく、今やECサイト、SNSとの視覚的統合・連動も重要になっているわけで、VMD実務者が店頭のVMDと同じ目線でSNSを運営してくれたり、VMD強調した売場やディスプレイをTV取材のパブネタにしたりするのは最高の視覚的統合・連動なんですよね。社長が「最近インスタがすごく良くなった!」とか褒めてくれたのも一定の成果です。

 

店の規模も組織もコンパクトなので出来る業務分担でしょうが、これがこれからの理想的なVMDの業務分担・・推進体制なのではと気付かされました。

 

VMDとSNSとプレスを「展開の統合的な視覚化」として一体に捉える。VMD計画の年間カレンダーとSNS、パブネタの仕込みを連動させて業務推進する。

 

VMD担当者が店舗のブログを任されている例やVMD業務のSNSアカウントを運営している例はよくありますが、プレスも含めて同じ視線で見て運営するという例はあまりないのではないでしょうか。VMDはどちらかというと販促業務と一体化しがちですからね。

 

これからのVMD推進体制のひとつのあり方として、今後も注視していきたいと思っています。なので、今後の動向をまた取材させてくださいね!!

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